Origami doctor's diary

歯科麻酔学会認定医試験勉強のアウトプット用ブログです。参考とした教科書や参考書、関係のない読書本も紹介します。

悪性高熱症・悪性症候群

Dr.Nからの宿題.悪性症候群についてリスクや診断についてまとめておく様に.

 

◆悪性高熱症

骨格筋が持続的に収縮し硬くなる.筋弛緩薬によって改善しないことから,神経筋接合部よりも末端側つまり骨格筋自身の問題.Ca放出機構の異常が考えられている.

→Ca濃度上昇→骨格筋細胞内の代謝を亢進させ,頻脈,体温上昇,呼吸性・代謝性アシドーシス,筋硬直,筋崩壊などを引き起こす.

 

臨床診断基準(盛生らの基準)

1)劇症悪性高熱症(f-MH)

 麻酔中の最高体温が40℃以上

 麻酔中の最高体温は38℃以上40℃未満であるが,体温上昇率が0.5℃/15min以上

 で下記の症状を認めるもの

 (a)原因不明の頻脈,不整脈,血圧変動

 (b)異常な呼吸(過呼吸):呼吸性・代謝性アシドーシス

 (c)筋硬直(咬筋・その他)

 (d)赤褐色尿

 (e)血液の暗赤色化:PaO2の低下

 (f)血液化学検査により,K,GOT,GPT,LDH,CKの上昇

 (g)異常な発汗

 (h)今まで認められなかった異常な出血傾向

2)亜型悪性高熱症

 上記の体温基準を満たしていないが,悪性高熱症の他の症状を認める

3)術後悪性高熱症

 麻酔終了後に悪性高熱症を発症

 

・発症時

①麻酔・手術の中止

②冷却生理食塩液でできる部位は全て冷却

③ダントロレン1~2mg/kg iv(15min),症状改善までMAX 7mg/kgまで

④対症療法

 血液検査

 全身冷却

 輸液と利尿(尿2mL/kg/hr以上)

 アシドーシス補正(メイロン)

 高K血症治療(GI療法)

 抗不整脈薬(Ca拮抗薬はダントロレンとの併用で心停止の危険があるため禁忌.アミオダロン,β遮断薬投与)

 

・問診

家族歴,麻酔歴,筋疾患,熱中症,小児では初歩行の遅れや側弯に注意

 

麻酔専門医試験56B42

「悪性高熱症患者の管理に関するガイドライン2016」 の内容について正しいのはどれか.3つ選べ.

a. 発症したら強制利尿を図る.

b. 不整脈にはCa拮抗薬を投与する.

c. 揮発性吸入麻酔薬は筋小胞体からのCa放出速度を亢進させる.

d. ミトコンドリア内のCa依存性ホスホリパーゼA2活性が異常亢進する.

e. BE-5mmol/Lの代謝性アシドーシスには炭酸水素ナトリウムを投与しない.

 

d.

→Ca濃度上昇→筋収縮持続→ATP消費も異常亢進→筋小胞体へのCa取り込みに伴うATP消費も増大→大量の熱産生

また,ミトコンドリア内のCa依存性ホスホリパーゼA2活性も異常亢進し熱産生が加速.

 

 

 

ついでに悪性症候群もさらっと

 

黒質線条体視床下部での急激で強力なドパミン受容体の遮断あるいは,ドパミン神経系と他のモノアミン神経系との協調障害などドパミン神経系仮説が考えられている.

 

・臨床症状

前駆症状として急激な精神症状の悪化,緊張病症状の出現,頻脈,頻呼吸,血圧上昇,CK上昇

筋強剛と意識変化で発症,持続的な高熱,自律神経症状などが主症状

抗精神病薬投与開始後1週間前後がほとんど

ミオグロビン尿

 

・治療

①精神病薬の中止

②補液

③体温冷却

改善なければ

ダントロレン(0.25~2mg/kgを6~12時間おきに)