Origami doctor's diary

歯科麻酔学会認定医試験勉強のアウトプット用ブログです。参考とした教科書や参考書、関係のない読書本も紹介します。

重症筋無力症,筋ジストロフィー〜筋弛緩薬の使い方を中心に〜

Dr.Nからの宿題の中に重症筋無力症,筋ジストロフィーの筋弛緩薬の使い方をまとめておくように,というものがあったので.

 

簡単にまとめれば

◆重症筋無力症(myasthenia gravis)

 脱分極性筋弛緩薬 :抵抗性

 非脱分極性筋弛緩薬:感受性亢進

◆筋ジストロフィー(muscular dystrophy)

 脱分極性筋弛緩薬 :禁忌(悪性高熱様反応,横紋筋融解症の危険因子)

 非脱分極性筋弛緩薬:作用発現までに時間がかかる

 

となる.

後々,振り返った時に確認できるように

 

◆重症筋無力症(myasthenia gravis)

定義:神経筋接合部シナプス後膜のニコチン性アセチルコリン受容体に対する自己免疫疾患.

特徴:骨格筋の筋力低下と易疲労感,休息による症状改善を特徴とする.

症状:眼瞼下垂(90%),複視

重症例:四肢筋力低下,嚥下困難,言語障害,呼吸困難

 午前は症状軽く,夕方から症状強くなるため麻酔管理は午前中に.

術前評価:球麻痺症状(嚥下障害,構音障害)ないか確認.あれば術後喀痰排出困難など気道維持できない可能性あり

麻酔薬:非脱分極性筋弛緩薬に対する感受性は一様に亢進している訳ではない.sugammadexに関しても,通常30%程度のAchRが遮断から回復していればOKだが,感受性が極めて亢進していると少しでもrocuro残っていると神経筋伝達が回復しない場合があると考えられている.

それ以外の薬:アミノグリコシド,テトラサイクリン,β遮断薬,プロカインアミド,フェニトイン→MG症状を増悪させたとの報告あり.

ベンゾジアゼピン系向精神薬も禁忌.

治療薬の抗コリンエステラーゼ薬を長期に渡り内服している場合は,逆に非脱分極性筋弛緩薬に対する感受性低下し,脱分極性筋弛緩薬に対する反応は遷延する.

覚醒時の抗コリンエステラーゼのネオスチグミンはかえって遷延する脱分極性遮断が 生じることもあるので避けるべき.

 

 

◆筋ジストロフィー(muscular dystrophy)

定義:骨格筋細胞の壊死と変性を主病変とし,進行性の筋力低下を特徴とする遺伝性疾患.

型:デュシュンヌ型,Becker型,肢帯型,福山型など

術前の確認:病歴,呼吸機能障害,心伝導障害,心筋症,筋拘縮,脊椎変形,胃内容物の停滞

→呼吸不全,心不全に対する管理が最重要

周術期合併症:悪性高熱様反応,横紋筋融解症,高K血症による心停止

→胎児型アセチルコリン受容体が多いので高カリウム血症による心停止と横紋筋融解症の危険性があるのでスキサメトニウムは禁忌.横紋筋融解症と悪性高熱症の発症率が高いと言われているため吸入麻酔薬は禁忌.

禁忌:脱分極性筋弛緩薬,吸入麻酔薬