Origami doctor's diary

歯科麻酔学会認定医試験勉強のアウトプット用ブログです。参考とした教科書や参考書、関係のない読書本も紹介します。

LISA2017特集からの勉強(低流量麻酔・術中人工呼吸管理・抗血栓療法)

Dr.Nより2017LISA特集の中から

 

・低流量麻酔

・術中の人工呼吸管理

・抗血栓療法

 

についてCHECKしておく様に指示があった.

たまたま,自分が重要だと思っていた分野からの話だったので,特集を読み,テスト対策としてまとめていく.

 

何故重要だと思ったかについて

・低流量麻酔について

 2017年度麻酔専門医試験で低流量麻酔について聞かれていた(詳細は後日).最近の流行りでもあるし,そのメリットデメリットは把握しておかないと解答できない問題だったため.

・術中の人工呼吸管理

 Dr.Nから術後肺合併症についてまとめておく様に言われていたこともあり,記述問題での出題が十分にありうる分野のため

・抗血栓療法

 歯科麻酔学会誌からの出題は毎年数題あると思っておいた方が良い(歯科麻酔学の教科書に解答を求められない問題を調べた時に,その年度の学会誌に出ていた単語だった問題があったため).今年の歯科麻酔学会誌に

46(1),6-12 "周術期の抗血栓療法をヘパリンに置換した口腔外科手術10症例の検討"

と言う論文があり,ヘパリン置換について記載があり,この中に抗血栓薬の使い方が書かれているため.

 

と言う事で,まとめていく.

 

●低流量麻酔

分時換気量によって再呼吸量は変わる

 ・40kgで分時換気量4L/minの人で流量3L/minで換気すると,再呼吸は1L/min.

 ・80kgで分時換気量8L/minの人で流量3L/minで換気すると,再呼吸は5L/min.

必要な酸素

 人体安静時の酸素消費量は3.2mL/kg.最低限この分は酸素供給されなければならない.safety marginをとって5mL/kgとすると50kgの人で250mL/minの酸素が必要.これはあくまでも酸素なので,FiO2 0.5なら500mL/minが必要量.

再呼吸が増えると

FiO2が下がりやすいため,酸素アラーム設定は21%→25~27%に設定しておいた方が良い.

デスフルランの量はどのくらい必要か

3L/min→1L/minとした時に単純に1/3ではない!

再呼吸の分を考慮しないといけないので(そのために最初の理解が必要),流量%を上げる必要あり.細かい計算は省くが,維持を0.7~0.8MACと考えた時に流量2.5L/minで5%で行なっていたものを流量1.0L/minにすると7%必要.

導入時のWash in

高流量でのWash inは絶対必要.この時に流量低いと上昇が遅すぎる.

低流量は低価格か

上述の件を考慮しないといけないので難しいが,そんなに変わらないとの見方が多い.セボ3L/minとデス1L/minで長時間なら金額も実はそんなに変わらない.

乾燥した吸収剤

CO発生の可能性があり,特に週明けの月曜は可能性高い.

メリット

加温加湿

吸入麻酔の濃度変化を考える

T(時定数)=Vs(システム容量)/VD(新鮮ガス流量)ーVV(患者取り込み量)

となっており,低流量の場合,新鮮ガス流量が低下し時定数上昇するため,システム容量を下げて対応.

新しい麻酔器(低流量麻酔に対応しているもの)や,バッグを3L→2Lなど.

 

●術中の人工呼吸管理

人工呼吸→生体の恒常性維持が目標→PaO2>60mmHg,pH7.4±0.05が目標.

なぜGA中に難しいか

・薬剤による影響

・無気肺の発生

・仰臥位→FRC減少

・気道クリアランス低下・喪失

PCVとVCVについて

PCVで,換気を規定する因子は吸気圧と吸気時間

VCVで,換気を規定する因子は一回換気量と吸気流量

PCVでは,受動的に一回換気量が決まり,吸気流量は設定できない.

VCVでは,受動的に吸気時間が決まり,吸気圧は設定できない.

分時換気量はpHの維持,FiO2とPEEPは酸素化を考えると言うこと

人工呼吸の基本はpressure,flow,volumeの3つ

合併症について

・無気肺→GAの90%に起こるとも言われている.予防には

  ◆リクルートメント40cmH2O,15secや30cmH2O,30secなど

  ◆PEEP

  ◆FiO2 酸素は動脈血に吸収されるが,N2は吸収されない.不要な酸素は投与しない.N2があれば完全に虚脱はしない.

・VALI(人工呼吸関連肺障害)→過剰な人工呼吸→多臓器不全

術中は直接は関係ないが,術中の管理が予後を改善したと言うデータがある.

  ◆圧が高すぎる,Volumeが大きすぎる

  ◆無気肺など換気の度に虚脱と再開通を繰り返し,肺中で炎症が起こり,遠隔臓器へ

肺保護換気

  ◆プラトー圧<30cmH2O→プラトー圧の部分は回路内の圧が0.pressure=肺胞内圧.

  ◆Vt 6~8mL/kg

  ◆リクルートメント行なってその後にPEEP

PEEPの設定に決まったものはないので,頭蓋内圧の上昇している症例以外では,8~12cmH2Oの範囲で一番いいところを探していく.

 

麻酔専門医試験55A82

人工呼吸関連肺障害の誘因はどれか.2つ選べ.

a. 高いPEEP

b. 短い呼気時間

c. 長い吸気時間

d. 高いプラトー

e. 大きな1回換気量

 

歯科麻酔認定医試験42-2-78

a. PEEPの付加

b. 高容量換気

c. 長いプラトー

d. 高いプラトー

e. 短い呼気時間換気

 

一年前の専門医試験問題を参考に問題考えているのだろう.

 

●抗血栓療法

血栓の形成

血流の変化,血管壁の変化,血液成分の変化という三つの要素(Virchowの三徴)が重要.

血栓の分類

血流の速い所での血栓脳梗塞心筋梗塞)→血小板血栓→抗血小板薬

血流の遅い所での血栓(DVT,Af)→フィブリン血栓→抗凝固療法

血小板血栓:von willebrand因子が接着し,親和性の高い血小板が結合.最終的にはトロンビンで血栓

フィブリン血栓:フィブリンに赤血球が取り込まれて血栓に.

血栓療法は

①抗血小板薬,②抗凝固薬,③線溶療法

血小板

巨核球の細胞質の破片として放出される無核の細胞

2/3は血中,1/3は脾臓,肝臓,骨髄にあり,足りなくなると臓器から補充される.

血小板サイクルは平均7,8日

平常時の血管内の堤防としての機能に1日7,000μL必要→2万μLが安全域とされる所以.

血小板はトロンビン産生の促進を行う.

抗凝固

フィブリノゲンを産生させないことが重要.血液凝固カスケードの最終段階をブロック.→Ⅹ因子(Ⅹa)とトロンビンf:id:hakasenoorigami:20180626134247j:plain

 

◆アンチトロンビン依存性抗凝固薬:未分画ヘパリン,低分子量ヘパリン,ペンタサッカライド(フォンダパリヌクス)etc

ヘパリンはアンチトロンビンと結合し,Ⅹa,Ⅶa,Ⅺa,ⅠX因子を不活化させ,抗凝固効果を発揮.

未分画ヘパリンは分子鎖が長く,色々な物質を阻害する.主なターゲットはⅩaとトロンビン.トロンビンは分子鎖長くなければダメだが,Ⅹaは比較的短い分子鎖で可能.トロンビン:Ⅹa=1:1が未分画ヘパリンの特徴.

低分子量ヘパリンでは,分子鎖短いためⅩa因子を阻害する能力の方が高くなっていく.トロンビン:Ⅹa=1:2〜5.

ペンタサッカライド(フォンダパリヌクス)は,Ⅹa選択性が高く,トロンビン:Ⅹa=1:7800.ただし,経口投与×で,皮下注のみ.

 

 

◆アンチトロンビン非依存:ワルファリン,ダビガトラン,NOAC(DOAC)

 

ワルファリン(抗凝固因子合成阻害)はビタミンK依存性凝固因子Ⅱ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹを阻害.作用発現までに時間が必要.ビタミンK依存性の因子であるプロテインCとプロテインSの合成阻害が先行し,導入初期に血栓傾向となるため,導入時に他の抗凝固薬(ヘパリン)との併用が必要.

ダビガトラン(直接トロンビン)はトロンビンのみを阻害.ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の治療薬.分子量が非常に小さい(先述のヘパリンの話とはイメージ逆).内服後の効果発現が早い(2~3時間).アルガトロバンは静注薬だったが,経口可能となったのがダビガトラン.APTTやPTでモニタリング.出血性の合併症起きやすい.

NOAC(DOAC)(直接Ⅹaの阻害)はリバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバン.非弁膜性心房細動における血栓予防.内服後の効果発現が非常に早い(1~2時間).ダビガトランと違い,APTTやPTでモニタリング不可.出血性の合併症少ない.

 

 

麻酔専門医試験56B52

作用がビタミンKに依存するのはどれか.3つ選べ.

a. プロトロンビン(第Ⅱ因子)

b. トロンボプラスチン(第Ⅲ因子)

c. クリスマス因子(第Ⅹ因子)

d.  ハーゲマン因子(第Ⅻ因子)

 e. プロテインC

 

以下,ビタミンK依存性タンパク

第Ⅶ因子:プロコンバーチン

第Ⅸ因子:クリスマス因子

第Ⅹ因子:スチュアート因子

第Ⅱ因子:プロトロンビン

プロテインC

プロテインS