Origami doctor's diary

歯科麻酔学会認定医試験勉強のアウトプット用ブログです。参考とした教科書や参考書、関係のない読書本も紹介します。

肺塞栓

第42回日本歯科麻酔学会認定医試験問題

その2

73.全身麻酔中に肺塞栓が発症した時に見られるのはどれか.全て選べ.
a. 洞性頻脈
b. SpO2の低下
c. EtCO2の低下
d. PaCO2の上昇
e. V4~V6の陰性T波

 

肺塞栓の問題は,高頻度に出題されている.しかし,教科書に記載されているレベルでは回答困難.

しかも,肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年)は2018.3.23に発行となっている.

 

 

まず,教科書から

症状:突然の呼吸困難,全身倦怠感,胸部痛や失神,喀血,頻呼吸,頻脈,浮腫.

心電図:塞栓が大きいと急性右心負荷所見(肺性P波,右軸偏位,不完全右脚ブロック,S1QorSⅠ Ⅱ Ⅲパターン,移行帯の時計回り回転など)

血液ガス分析:PaO2低下,PaCO2低下,AaDO2開大

 

心電図所見に関して

”心電図のみかた,考えかた”によると

肺塞栓症→右房拡大→心室肥大(負荷)となる.

右房拡大の所見→Ⅱ誘導のP波の高さが2.5mm以上(P波の先鋭化)

右室肥大の所見が右軸偏位

右脚ブロック→QRS(>0.12sec)+V1でM型,V6で幅広S波

不完全はQRS幅(0.10~0.12sec)

 

ガイドラインでは,

胸部X-pやECGに特異的な所見はないとしている.

PaO2 80mmHg以下,Aa-DO2 20mmHg以上(満たさなくても否定できるわけではない)

SpO2の所見は簡便かつ有用

起こった場合の治療として

①酸素投与,人工呼吸ではPEEPには注意し,Vt 6ml/kg程とする.

②容量負荷は賛否両論

③薬物は色々検討されているが,現状ではドパミン,ノルエピネフリン

 

その他

PaCO2に関しては,通常,頻呼吸となるため,低下するが,全身麻酔中は人工呼吸のためPaCO2は上昇する.この事が教科書,ガイドライン両者に記載されていないため,問題が難しくなっていると考えられる.

 

問題になりやすいとしたら,急性期の場合と予防に関してか.