Origami doctor's diary

歯科麻酔学会認定医試験勉強のアウトプット用ブログです。参考とした教科書や参考書、関係のない読書本も紹介します。

血管迷走神経反射 vasovagal reflex

歯科診療で最も頻度の高い全身的偶発症

 

発生

痛み・緊張・不安などのストレッサーが原因となり,その症状はほとんどが迷走神経緊張による循環抑制.

これまでの定まっていない用語による混乱を避けるため,教科書では,以下の分類を

している.

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病態

血圧低下であり,生じる症状・徴候は自律神経症状と血圧低下に起因している.心拍数は,多くは徐脈になる.しかし,心拍数が増加して血圧低下が生じている症例も見られる.

血管迷走神経反射の発生機序における自律神経の役割は単一ではないと考えられ,以下の3つに大きく分類している.

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いずれも古い論文であり,検索できなかった久保田の文献以外は目を通したが,述べているのは,2の機序についてであり,1と3については,2では説明できない病態が存在することから,考えられる病態を述べているように見受けられる.また,2の機序もこの表現では理解しづらく,現在考えられている病態はおそらく以下のものであろう.(Heart View Vol.17 No.5 2013 特集 迷走神経性失神より)

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Head-up tilt試験のものだが,立位になることで下肢末梢静脈のうっ滞が起こり,右房に戻ってくる静脈還流量が減少する.すると右房圧が低下するため,低圧系圧受容器が延髄に求心信号を送り,交感神経緊張及び迷走神経抑制をきたす.一方,静脈還流低下による1回心拍出量も減少するため,動脈圧が低下し,高圧系受容器が刺激され,低圧系圧受容器と同様に交感神経緊張及び迷走神経抑制をきたす.これらにより,左室の収縮力が増強するが,静脈還流量低下のために左室容量は減少しているため,左室は空打ち状態になり ,左室機械受容器が刺激され,求心性迷走神経枝(無髄性C線維)をインパルスが上行し,延髄の孤束核に到達.ここからの線維により血管運動中枢と心臓中枢を介して心拍数低下と血管拡張による血圧低下が生じて失神をきたす.

 

教科書レベルではここまでの理解で問題ないと思われるし,実際には機序は完全にわかっているわけではないので,問題としては作成しにくいと思うが,日本歯科麻酔学会が「歯科治療中の血管迷走神経反射に対する処置ガイドライン」を作成している.そしてこのガイドライン作成に認定医試験委員から4人の先生が参加していることから非常にHotな話題と言える‥

例えば

Q.歯科治療中に起こる血管迷走神経反射について分類し概要を述べよ.

Q.血管迷走神経反射の発生する機序としてどのようなものが考えられているか.

などは,本来答えのない問題だが,Hotが故にありうるかも